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計算科学研究センター(3ページ) 分子研リポート2011 | 分子科学研究所

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研究施設の現状と将来計画 301

8-6 計算科学研究センター

計算科学研究センターは,2000年度の電子計算機センターから計算科学研究センターへの組織改組にともない, 従来の共同利用に加えて,理論,方法論の開発等の研究以外にも,研究の場の提供,ネットワーク業務の支援,人材 育成等の新たな業務に取り組んでいる。2011年度においても,次世代スーパーコンピュータプロジェクト支援,ネッ トワーク管理室支援等をはじめとした様々な活動を展開している。上記プロジェクトについてはそれぞれの項に詳し く,ここでは共同利用に関する活動を中心に,特に設備の運用等について記す。

2012年2月現在の共同利用サービスを行っている計算機システムの概要を示す。本システムは,「超高速分子シ ミュレータ」と「高性能分子シミュレータ」から構成されている。前者は2012年2月明大寺地区に設置され,後者 は2008年3月に更新されて山手地区に設置されている。両シミュレータは,いずれも量子化学,分子シミュレーショ ン,固体電子論などの共同利用の多様な計算要求に応えうるための汎用性があるばかりでなく,ユーザーサイドの PC クラスタでは不可能な大規模計算を実行できる性能を有する。

まず,超高速分子シミュレータは富士通社製の P R I M E R G Y と S G I 社製の U V 1000 から構成される共有メモリ型ス カラ計算機で,両サーバは同一体系の C PU(Intel. X eon)および OS (L i nux2.6)をもとに,バイナリ互換性を保って 一体的に運用される。これらに加え,京コンピュータと同じアーキテクチャの富士通社製 P R I M E H P C . F X 10 があり, システム全体として総演算性能 149. T f l ops で総メモリ容量 43. T B y te 超である。PR IM E R G Y は,16. C PU コア /64. G B 構成のノード 162 台と 16C P U コア /128G B 構成のノード 162 台からなる P C クラスタである。前者が 40. G B /s で後者 は 80. G B /s のバンド幅で演算ノード間が相互接続され,大規模な分子動力学計算などノードをまたがる並列ジョブを 高速で実行することができる。特に後者においては,v S M P を導入することで複数ノードを仮想的に 1 ノードの共有 メモリシステムとして運用できる機構を有する。UV 1000 は 576.C PU コア /9.T B を有する NUMA型の共有メモリシス テムであり,ジョブ作業領域用に実効容量 400. T B および総理論読み出し性能 12. G B /s を有する高速磁気ディスク装 置が装備され,大規模で高精度な量子化学計算を可能とする。この2サーバで 1000. T B の容量の外部磁気ディスクを 共有し,NF S より高速なパラレル NF S が使用できる。PR IME HPC . F X 10 は,16C PU コア /32G B の 96 ノードが富士通 独自の T of u インターコネクトで連結されたシステムである。京コンピュータと互換性があり、京コンピュータのプ ログラム開発やデータ解析等への活用が期待される。

一方,高性能分子シミュレータは,演算サーバ,ファイルサーバ,フロントエンドサーバおよびネットワーク装置 から構成される。演算サーバは,日立製作所製の S R 16000 であり,1. C PU コアあたり 18.8. G fl ops の演算性能を持ち, 1 ノードが 32.C PU コアと 256.GB yte メモリを有する共有メモリ型スカラ計算機である。理論総演算性能は 5.4.T flops, 総メモリ容量は 2.3. T B y te であり,一時作業領域として 23. T B y te のディスクを装備している。本演算サーバは,浮動 点少数演算量が多い分子科学計算はもちろんのこと,高クロック周波数 C PU の強みを生かし,従来性能が出しにくかっ た整数演算や論理演算を多用するプログラムにも性能を発揮する。ファイルサーバは,128.T B yte のディスクを装備し, 共同利用システム全体のホームディレクトリ等のサービスを行っている。またバックアップ領域として 60. T B y te の ディスクも装備している。2013年2月以降に「高性能分子シミュレータ」を更新するために,2011年9月に仕様 策定委員会を設置し,導入に向けた手続きを開始している。

ハードウェアに加え,利用者が分子科学の計算をすぐに始められるようにソフトウェアについても整備を行ってい る。量子化学分野においては,G aussi an. 09,G amess,M ol pro,M ol cas,T urbomol e,分子動力学分野では,A mber, NA MD ,Gromacs がインストールされている。これらを使った計算は全体の約半数を占めている。さらに,量子化学デー タベース研究会の活動を支援し,同会から提供された量子化学文献データベースをホームページから検索できるよう

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302 研究施設の現状と将来計画

にしている。これまでに合計 113,007 件のデータが収録され,世界 84 カ国から利用されている。

共同利用に関しては,2011年度は 170 の研究グループにより,総数 666 名にもおよぶ利用者がこれらのシステム を日常的に利用している。また,世界をリードする計算科学研究を本センターから発信していくことができるよう, 大規模ユーザのために施設利用Sを設定し,2011年度は5件の利用グループに従来の共同利用の枠を超えた超大規 模計算環境を提供してきた。近年,共同利用における利用者数が増加傾向にある。このことは,計算科学研究センター が分子科学分野や物性科学分野において極めて重要な役割を担っており,特色のある計算機資源とソフトウエアを提 供していることを示している。

計算科学研究センターは,国家基幹技術の一つとして位置づけられている次世代スーパーコンピュータプロジェク トにおいて,とくにナノサイエンスに関わるアプリケーション開発「ナノ統合シミュレーションソフトウェアの研究 開発」において重要な役割の一端を担っている。また,昨年度より,革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・ インフラ(H P C I)戦略プログラムが開始された。この中で,H P C I. 戦略分野2「新物質・エネルギー創成」計算物質 科学イニシアティブ(C MS I:.C omputational.Materials.S cience.Initiative)が物性科学分野,分子科学分野,材料科学分野 により構成され,. C MS I. の戦略機関の一つとして分子科学研究所が参加し戦略プログラムを推進している。HPC I 事業 の中で,計算科学研究センターは H P C I. の資源提供機関の一つとして H P C I. 戦略プログラムに参加し,昨年度よりコ ンピュータ資源の一部(20% 未満)を提供・協力している。さらに,ハード・ソフトでの協力以外にも,分野振興お よび人材育成に関して,スーパーコンピュータワークショップ「バイオサイエンスに対する計算分子科学からのアプ ローチ」と2つのウィンタースクール「第1回量子化学ウインタースクール〜基礎理論を中心として〜」と「第5回 分子シミュレーションスクール〜基礎から応用まで〜」を開催した。

平成23年度 システム構成(2012 年 2 月以降) 超高速分子シミュレータシステム

クラスタ演算サーバ

型番:富士通.PR IME R GY OS:L inux

C PUC ore 数:5184(16C PUC ore× 162 ノード × 2 システム)

総理論性能:120.2T F L OPS (371.2GF L OPS × 162 ノード × 2 システム) 総メモリ容量:31.1T B (64GB × 162 ノード+ 128GB × 162 ノード) 高速 I/O 演算サーバ

型番:S GI.UV 1000 OS:L inux C PUC ore 数:576

総理論性能:6.1T F L OPS (6.4GF L OPS /C PUC ore) 総メモリ容量:9.2T B

ディスク容量:400T B (/work)

「京」用開発サーバ

型番:富士通.PR IME HPC .F X 10 OS:L inux

C PUC ore 数:1536(16C PUC ore× 96 ノード) 総メモリ容量:3.0T B (32GB × 96 ノード) ディスク容量:48T B (/k/home)

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研究施設の現状と将来計画 303 外部磁気ディスク装置

型番:PA NA S A S .PA S 12,PA S 11 総ディスク容量:1000T B 高速ネットワーク装置

型番:F orce10.Z 9000

高性能分子シミュレータシステム 演算サーバシステム

型番:HIT A C HI.S R 16000 モデル OS:A IX

C PUC ore 数:288(32C PUC ore× 9 ノード) 総理論性能:5.4T F L OPS

総メモリ容量:2.3T B (256GB × 9 ノード) ディスク容量:23T B (/work)

ファイルサーバシステム

型番:HIT A C HI.E P8000/550Q(2 ノード) OS:A IX

総メモリ容量:64GB (32GB × 2 ノード)

ディスク容量:120T B (/home(37.4T B ),/week(20.0T B ),/save(37.4T B )) 60T B (バックアップ用)

フロントエンドサーバ

型番:HIT A C HI.E P8000/550Q(2 ノード) OS:A IX

総メモリ容量:64GB (32GB × 2 ノード) 高速ネットワーク装置

型番:A laxala.A X 6708S

参照

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